住宅ローンに頭金は使わない、繰り上げ返済もしない

夢じゃないマイホームを軽率に購入した。

自宅を含めて、不動産投資として複数の物件を購入してきました。

そんな経験から、人生の3大資金である「住宅資金」に関して、一般的でない考えを述べてみます。

昨日の投稿とはほとんど真逆のことを言っているかもしれません。
住宅資金についての昨日の投稿もあわせてご覧ください。

それではお伝えします。

マイホーム購入に自己資金は使わない

住宅ローンの金利はとても低いです。

変動金利だと0.3%台、全期間固定金利でも1.2%台です。

正直なところ、ここまで金利が低くてお金を借りられるのだから、借りられるだけ借りてしまった方が良いと考えます。

例えば、不動産投資でローンを組む場合は、住宅ローンが使えないため投資用のローンを組むことになりますが、その場合の金利は、変動金利でも1.5%とかで組めれば良い方ですし、3%台などもあります。
加えて、住宅ローンに比べて審査の条件も厳しいです。

それでも利益を出せる見込みがあるから不動産投資をするわけですが、自宅の購入は投資ではないにしろ、どうしてせっかくの低金利のローンをフル活用しないのかと思います。

住宅ローンに自己資金を充てるくらいなら、その分を運用に回す方が効率的です。

頭金は資産運用に充てた方が良い

例えば、住宅ローンの頭金として600万円を貯めたとしましょう。

物件購入の際によく言われるのが頭金2割ですので、頭金600万円で3000万円の物件を想定してみます。
分かり易いように諸経費などは無視します。

金利1.3%で35年の借入では、頭金を除いた2400万円を住宅ローンで組む場合、月々71,155円の返済で、総返済額は29,885,190円となります。

同じ条件で、頭金を入れずに3000万円を組む場合には、月々88,944円の返済で、総返済額は37,356,544円です。

頭金を多く入れて負担を減らしましょう、と一般的に言われるように、たしかに総返済額で見ても、頭金を入れない場合には747万円多くなってしまいます。

ですが…積立投資の平均的なリターンは年利6~9%ほどです。

仮に600万円を年利6%でもよいので35年間複利運用したとします。
その場合の運用結果は、4612万円になります。

税金は考慮していません。

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を活用することで、年間360万円までの非課税枠も活用できます。
つまり、600万円の運用であれば、2年に分けることで全て非課税枠での運用も可能です。

住宅ローンの頭金に600万円を充てれば、返済総額で747万円減らすことができるかもしれません。
ですが、その600万円を同じ35年間運用した場合には4612万円やそれ以上に増やせる可能性があります。

住宅ローンの繰り上げ返済も不要

同様に繰り上げ返済も行いません。

その分のお金があるのなら運用に回す方が望ましい、という考えが前提なのですが、他にも繰り上げ返済を行う必要がない理由があります。

<貧しい気分になる>
まず、繰り上げ返済によって手元のお金が減ります。
頑張って返済を早めるにしても、手元にお金がない状態が続くのは貧しい気分にもなります。
特に、返済期間短縮型での繰り上げ返済では、毎月の返済額も変わらないので、手元の資金がなくなった分、より貧しい気分になります。

<住宅ローン控除が減る・なくなる>
住宅ローン控除を受けている方もいると思います。
住宅ローン控除は年末時点の借入残高に基づいて金額が決まります。
つまり、繰り上げ返済をすることで控除額を減らしてしまうことになります。
さらに、期日短縮型の繰り上げ返済を行うことで、返済期間が10年未満になった場合には住宅ローン控除を受けられなくなります。

<団信の保障を減らすことになる>
また、住宅ローンを組む際には団体信用生命保険(団信)に加入します。
団信は、住宅ローン返済中に、債務者が死亡や高度障害になった場合に、残債分の保険金が支払われて借入残高をゼロにできる保険です。
万が一の事が起こった場合、残債分の保険金が支払われるのですから、繰り上げ返済をせずに手元にお金を置いておいた方がよかったということにもなりかねません。

<手数料がかかる>
繰り上げ返済には手数料もかかります。
金融機関によって様々で、無料のところもありますが、数万円かかる場合もあります。

住宅資金まとめ

いかがでしたでしょうか。

住宅の購入においては、できるだけ頭金を用意して、できるだけ早期に返済、というのが一般的な考えかと思いますし、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーのアドバイスとしても、そのようなアドバイスが多いと思われます。

全くリスクを取りたくないという方はそれでもよいかもしれませんが、資産運用で多少のリスクは取れるという方は参考にしていただければと思います。

本日の内容はここまです。

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