教育資金の準備に学資保険は必要ない

学資保険と言えば、子どもの教育費を準備するための保険商品です。
約5割の家庭が教育資金の準備に学資保険を利用しています。

周りもやっているし、子どもが生まれたら自然と始めるものなのでしょう。

今回は、そんな学資保険について解説してみます。

学資保険とは

学資保険は、子どもの教育費を計画的に準備するための保険です。

契約時に定めた保険料を払い込むことで、子どもが指定の年齢に達した際に、祝金や満期保険金を受け取ることができます。

基本的に、受け取る保険金の総額は、払い込んだ保険料の総額よりも多くなります。

「子どもの教育資金に関する調査2023(ソニー生命)」によると、学資保険の加入率は49.7%で、子どもの教育資金を準備する手段として、多くの家庭が取り入れていることがわかります。

それでは、学資保険の何がそれほどまでに魅力的なのか、みていきましょう。

学資保険の魅力

学資保険に関して、一般的に言われる魅力をお伝えします。

<計画的に教育資金を貯められる>
学資保険を契約すると、保険料として毎月決まった額が引き落とされます。
最初に設定した目標に合わせて、毎月自動でお金が引き落とされることで、強制的に教育資金を貯めることができます。

<払い込んだ保険料以上の保険金が受け取れる>
学資保険には返戻率という考えがあります。
例えば、返戻率が110%の学資保険に加入して、仮に総額で500万円の保険料を支払ったとすると、保険金として受け取る総額は550万円(500×110%)になるといった感じです。
以前は返戻率120%のような学資保険もあったようですが、現在は105%前後でしょうか。

<万一の場合に備えられる>
学資保険も保険としての役割も果たします。
契約者に万一の事があった場合には、以降の保険料支払いは不要となりますが、祝金や満期保険金は受け取ることができます。

<節税効果がある>
学資保険の保険料は生命保険料控除の対象になります。
所得税では最大で4万円、住民税では最大2.8万円の控除が受けられます。

学資保険のデメリット

では、学資保険のデメリットはどうでしょうか。

<中途解約で元本割れを起こす>
家計の事情により、学資保険を解約せざるを得ない状況が訪れるかもしれません。
そうなると、まず受け取る保険金は払い込んだ保険料を下回ります。

<インフレリスクがある>
学資保険は契約時の返戻率で固定されます。
保険金の受け取り時に物価が上昇していると、予定していた教育資金では足りないということも起こりえます。

さらに言うと、上で挙げた魅力も大した魅力ではなさそうです。

たしかに、計画的に教育資金を貯められるかもしれませんが、銀行で自動振替でも行って貯蓄用の口座にでも移しておけばそれで済みます。

返戻率105%も物足りません。
10年とか15年かけて5%程度しか増えないのは運用効率が悪過ぎます。
中には返戻率が100%を下回る、いわゆる元本割れを起こすものもあります。

万一に備えとしては保障が弱過ぎます。
保障が欲しいのであれば、毎月数百円程度の掛け捨ての保険にでも入ればよいです。

節税といっても、控除の額が手元に戻るわけではなく、戻ってくるのは控除額の税金部分です。
ですので、上限の控除だったとしても数千円程度にしかなりません。

学資保険まとめ

そうなると学資保険に入る理由があまり見つけられません。

多くの方が入られている学資保険ですが、必ずしも子どもの教育費を準備するための最適な方法とは言えないかもしれません。

学資保険以外で教育資金を準備する方法も検討してみてはいかがでしょうか。

本日の内容はここまです。

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